おしえる
STORY

  “あなた自身の言葉”をゼロからみつけていきましょう

“あなた自身の言葉”をゼロからみつけていきましょう 文筆家・童話作家|Kokoro Ogawa

  • 文筆業のかたわら、講座を通じて「文章を書くための」サポートを続けている小川こころさん。ストアカで講座を開いてから2年半。2017年12月現在、受講生はおよそ1000人にのぼり、「ゼロから始める文章教室シリーズ」を始め、「コラム入門」や「小冊子ZINE入門」などニーズに合わせた講座はどれも好評を博しています。

    「添削をしないのがモットー」という文章講座、その人気の秘訣は何なのでしょうか?

    書くことと真摯に向き合ってきた小川さんならではのSTORYを伺ってきました。

新聞記者時代、おしえることも仕事のひとつだった

  • いつごろから「書くことを職業にしたい」と思っていたんですか?

     

    小さいころから、ですかね。

    親がよく絵本の読み聞かせをしてくれていたこともあってか、とにかく絵本を読むこと、そして書くことが好きで好きで。

    読書感想文や作文はもちろん、物語や詩、俳句のノートを作ったり。兄弟の国語の宿題まで、代わりにやってしまう、というぐらいに好きでした。

  • 宿題を代わりに?!本当にお好きだったんですね(笑)

     

    はい。算数とかサイエンス系は全然得意ではなかったのですが…。
    「読む・書く」に特化して、いろんな賞に応募して、入選したりもしていました。
    その後、高校、大学と進んでもやっぱり好きで。
    文芸サークル、放送研究会で作品やシナリオを書いたり、演劇も好きだったので、自分で脚本を書いて演じる、ということもしていました。

  • じゃあ、その子どもの頃からの「読む・書く」が現在の素地になっている感じで……?

     

    それはあると思います。やはり、「読む」と自分の中に言葉が蓄積されていって、「書く」につながるので。

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  • では、大学を卒業されてすぐに、書くことを職業にされたんですか?

     

    いえ、最初は演劇の世界に入りたくて、卒業後は地元から上京し劇団などをまわったのですが、すぐに厳しい現実を知りまして。

    そこで新卒時は、中学・高校時代に吹奏楽部に所属していたり、小さい頃から鍵盤楽器を習っていた経験を活かして、楽器販売会社に入社しました。でも、働いているうちに、やっぱり自分には「書く」仕事が向いていると気がつき、28歳のときに大手新聞社に中途入社したんです。

  • どんな部署に配属されたんですか?

     

    教育系の部署です。全国の小学校・中学校・高校へ足を運び、子どもたちに関するニュースについて取材していました。その他、エンタメも担当していたので、音楽や芸能、書籍についての取材もたくさんありましたね。

    実はここから、童話作家の道へとつながっているんです。

  • 具体的には、どういう流れで?

     

    当時、絵本や児童書に関する企画を紙面やイベントで数多くやっておりまして。そこで、出版社の方や作家さんたち、そしてたくさんの絵本や童話と出合う機会を得ました。

    そんなご縁もあって、新聞社退職後はライター活動のかたわら、NPO団体に所属し、絵本を普及する活動をしていました。こうして絵本と接しているうちに今度は自分自身が書きたくなって、作家活動を始めたんです。「自分ならこう書くな」とか「イソップ物語やグリム童話でもまだ知られていない素敵なお話を世に出したい」とか、童話を出版する構想が明確になったんですよね。

  • 新聞記者時代にいろんなつながりができ、ご自身の世界がぐっと広がったのですね

     

    それでいうと、実は「おしえる」ことも業務のひとつだったんです。

    事業の中に、出前授業のような「記者の出張プログラム」がありました。小学校に行って、新聞づくりの基礎を教えたり、地域の新聞をつくりたいという大人の方向けに編集についての授業をしたり。

ストアカで広がった受講生の層

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  • 新聞記者ってかなり広範囲にわたるお仕事内容なんですね。知りませんでした

     

    人に教えるなんて、まったくはじめての経験でしたので、はじめはどうしたら伝わるか、分かりやすくなるのかをひたすら研究しましたね。

    ブラッシュアップを重ねていきながら、続けていくうちに、みなさんと作り上げていく“ものづくり”がだんだん楽しくなってきたんです。

  • ものづくり、ですか?

     

    私は、文章を書くということは「最もミニマムなものづくり」だととらえているんです。紙とペンがあれば、短時間でひとつの作品が書ける。それなりの達成感もありますし。

    そうした経験もあってか、新聞社を退職してからも、教えることは続けてきましたね。

  • 退職してからはどんなところで講師業をされていたんですか?

     

    カルチャースクールでした。大人のための文章講座をテーマに3~4年続けましたが、やりたいことに制限があって。特に大手だと必要に応じて講座時間を延ばしたり、コマ数を増やしたりすることができない。もっと臨機応変に講座できるところないかな、とサイトで検索していたときに「ストアカ」をみつけました。3年前ぐらいのことです。

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  • それまでのカルチャースクールとストアカとはかなり雰囲気が違いますよね。はじめるときに留意したのはどんなところでしたか?

     

    やはり、講座のタイトルでしょうか。

    できるだけ参加者のハードルを下げたかったので、まず「ゼロからはじめる」とつけました。しかし、これだけだとぼんやりしてしまう。そこで、これまで教えてきた経験を振り返りまして。「文章を書くのが苦手=何を書いていいかわからない」のかも、ということに行きつき、「最初の一文ですべてが決まる」と続けることにしました。今でもこの講座が一番人気ですね。

  • 受講する人の傾向みたいなものはありますか?

     

    どの講座にも言えることですが、年齢層はとても幅広いです。

    20代の方は、社会人になって会社で企画書や報告書を書くことが増えたり、ブログ担当になったけれど、文章が書けないから、とにかく自信をつけたいという人が多いです。
    30代・40代になってくると、逆に会社でお堅い文章や面白みのない内容のものばかり書いているので、もっと情緒的な文を書いてみたい、というような要望の方が増えてきます。
    40代後半~60代の方々は、自分の本を書きたい、自分の言葉で思いを伝えたいという起業家さんとか、起業を視野に入れている方が多いですね。実際に出版されている方もいらっしゃいます。

  • 実に幅広い層ですね

     

    シニア層が中心だったカルチャースクール時代からすると、まったく違いますね。ともあれ、新聞社時代に会った人ともまったく違うジャンルの方ばかりで、刺激になります。

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「書く=読ませるゲーム」だと思えばこわくない

  • いろんな人が訪れるとはいえ、最初は「書くことへの苦手意識」から受講される方がほとんどですよね?

     

    そうですね。まず、文章は一度書いたら完成する、と思いこんでしまって、怖くて書き出せないという方が多くいらっしゃいます。でも、私たちプロの業界で「書くことは書き直すこと」という言葉があるくらいに、何度も何度も推敲して完成させるもの。だから、最初に書いた文章はたたき台だと思って、どんどん気軽に書き進めていいんですよ、という話はよくさせてもらっています。

  • 「書くこと」をむずかしく捉えている人が多いのでしょうか?

     

    文章力=国語力だと思っている方が結構いらっしゃるのですが、じつはちがいます。講座では「書くことはゲームみたいなものなんですよ」とお伝えしています。短文と長文を交互に使ってリズムを作る、読み手を引き寄せるための見出しをつける、新聞記事のように状況を知らせるため5W1Hを使う……文章を書くための極意。これらはすべて、相手に全部を読ませるための戦略なんですよ、と。そういうと、みなさん、いい感じに肩の力が抜けて、書くことを楽しめるようになるようです。

     

  • ゲーム。新鮮です…!その他、どんなことをモットーにして、教えていますか?

     

    私は一応、講師業という立場ではありますが、自分のことを「受講生自身の中に眠っている言葉を引き出す」サポート役だととらえています。だから、上から目線で教えるなんておこがましいことだと思っています。

    なので、添削も一切しません。添削すれば、私自身は楽ですが、でも私の文章になってしまう。結果、受講生のものにはならないですし、何よりもご自身が腑に落ちないから、文章を書くことが楽しくないし、伸びないんですね。だから、考え方の方向性を示したり、具体例を用いた説明をしたりして、ご自身のフィルターを通した言葉を見つけていけるように促します。

  • 私自身がまさにそうなんですが、自分の言葉ばかりで書くと、ひとりよがりな文章にはなりませんか?

     

    そうなんですよね。だから、みなさんには、書き手であり“読み手”でもある自分を忘れてはいけないということもお伝えしています。

    私の場合、読み手の自分を分析すると、すごく自己チュウでわがままで、飽きっぽい人間なんです。例えば、一冊の雑誌を買っても、気に入った特集だけ読んで、その他のページは開かないまま捨てる、なんてことはしょっちゅうあります。

    だからこそ、読み手の視点を忘れず、自分の文章に「なぜ?」「どうして?」とツッコミを入れながら綴っていくこと。これが、ひとりよがりにならず、読み手との距離を生じさせないテクニックのひとつです。

  • なるほど。こうしたことも“読ませるゲーム”につながるわけですね

文筆業と講師業でいいバランスが保てる

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  • 現在、本業である文筆業と講師業とを両立されていますが、全般的にいかがですか?

     

    いま、とてもいいバランスを保てていると思います。

    例えば、コピーライティングやインタビュー取材、書籍制作など、現役ライターとしてさまざまな執筆の現場に身を置いているからこそ、受講生のみなさんの質問にも、旬な内容でお答えすることができます。逆に、自分自身が20代向けの書籍づくりに携わっているとしたら、同じ20代の受講生の、読み手としての意見が非常に参考になったりもします。

    どっちか片方だけでは、この循環は成り立たないですからね。

  • 講師業を始めて、自分の中の発見はありましたか?

     

    特にストアカに関して言えば、はじめた当初は「同じレジュメを使って、何度も講義をして、自分自身が飽きないかな?」と不安に思っていたんですが、実際は飽きるどころか、楽しくて仕方がありません。やはり講座は受講者一人ひとりが作るもの。メンバーが違う以上、同じ内容になることなんてないんですよね。毎回、みなさんの言葉や感性に触れ、刺激を受けています。

  • 講座について、今後の展望はありますか?

     

    現在実施している講座をひととおり受けてくださった方もいらっしゃるので、さらに文章のテーマを絞った講座や、受講生の個性やよいところをぐっと伸ばせる講座など、受け皿をもっと増やしていきたいです。

  • 小川さん、素敵なお話をありがとうございました!

  • 編集後記:文筆業の大先輩に取材、そして執筆。ライターのお仕事で、こんなに緊張する案件がかつてあっただろうか、とガチガチになりながら、いざ、ご本人にお会いしてみると……非常に物腰がやわらかく、でも、てきぱきとした分かりやすい口調でお話しいただき、さすが書き手のことを考えてくださっている!と感激いたしました。「書き手でもありながら、読み手である自分を忘れない」。肝に銘じます。


  • 先生のプロフィール

    小川 こころ

    小川 こころ さん(Kokoro Ogawa)

    新聞記者、コピーライターを経て独立。現在は文筆家、ライター、童話作家として活動中。
    雑誌、情報誌、書籍、WEB、広告、新聞など、活動範囲あれこれ。
    大人の創作教室【東京青猫ワークス】を主宰。
    笑いと遊び心を織り交ぜ、感性や発想力に磨きをかける「ゼロからの文章講座」「読ませる、伝わる文章術」「『好き』を伝える小冊子ZINE」「絵本・童話創作講座」など、各種ワークショップを開講中。

    東京ライターズバンク会員。
    国際クラフト協会会員。
    NPO法人「絵本で子育てセンター」認定絵本講師。

先生の教えている講座

※2018年01月15日現在の情報です。

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