おしえる
STORY

すべての人が、テクノロジーを武器にして活躍できる社会をつくりたい ”ゼロからのプログラミング”のマスター|Hiroyoshi Noro
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先生のプロフィール
野呂浩良さん(Hiroyoshi Noro)
MBAエンジニア講師。リクルートやワークスアプリケーションズなど異業種・異職種への転職を4度経験。あらゆる時間を計測し、未経験の職務でゼロから短期間に成果をあげる独自の生産性向上手法を確立。ワークスアプリケーションズの特待生制度「問題解決能力発掘プログラム」の突破経験と1年間の独立起業過程でエンジニア人材の不足を痛感した原体験から、実務経験を得てエンジニアになるためのハイレベル・プログラミングスクール「DIVE INTO CODE」を創業。
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目次
撮影・取材・文:中村洋太(ライター)
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異業種・異職種への転職を4度経験した野呂浩良さん。最終的に行き着いたのが、プログラミングを教えるということでした。ミッションは「すべての人が、テクノロジーを武器にして活躍できる社会をつくる」こと。
プレイヤーとしてではなく、あくまで教える立場として社会に大きなインパクトを与えたいと話す野呂さんの人生に、いったい何があったのでしょうか。
インタビュー時、彼の口からは「後悔しない生き方」という言葉が何度も出てきました。「時間管理」から始まった生産性向上への道のりは、 意外な角度からプログラミングへと繋がっていきました。
後悔しない生き方をしたい
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野呂さんがプログラミングに出会ったのは29歳の頃だと伺いましたが、それまでは何をされていたのですか?
リクルートに勤めていて、IT企業向けの製品が載っているサイトの運営をしていました。会計ソフトとか、クラウドサービスとかですね。IT企業に対して「広告を載せましょう」という営業をしていました。
もっと遡ると、最初は音楽CDやビデオレンタルなどを扱う会社で営業していました。実はプログラミングを教えるようになるまでは、ずっと「時間の生産性や時間の価値を上げるための事業をしたい」と考えていたんです。
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どうしてまた?
最初の会社で毎日売上の数字を見ながら、もっと仕事の生産性を高めることができたら、売上を上げるためのコンサルティングビジネスができるんじゃないかな、と思っていました。「いつか絶対ビジネスにしよう」と今後の目標に組み込みました。
また、この想いに関連した出来事が22歳のときにありました。父の死を経験したんです。
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そうなのですね。ずいぶんお若いときにでしたね。
父の死からわかったことは、「人生って突然、あっという間に終わるんだな」ということ。そして、後悔しない生き方をしたいと強く思うようになりました。後悔しないためにはどうしたらいいのか。そうだ、後悔するようなことをやめればいいんだ、と。それで後悔したのはどんなときだったかと振り返ってみると、「気の合わない人と行ってあまり楽しくなかった旅行」とか、「テレビをダラダラと6時間も見てしまったとき」とか、「勉強しなきゃいけないのに勉強しなかったとき」とか、たくさんあったんですよね。
それで、何にどれだけ時間を使っていたのかを調べるため、ストップウォッチを使って自分の行動を記録し始めたんです。
時間管理を徹底的に
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ストップウォッチで自分の全行動を?
はい。まず朝起きて、ストップウォッチを止めるところから1日が始まります。何時間寝たと。そしてまたピッと計って、朝の身支度。終わった、はい何分、というように。1日の中の行動をすべて計り続けました。
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その生活を、どのくらい続けていたんですか?
12年です(笑)
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12年も!?(笑)
その経験から、独自の生産性向上手法も確立しましたし、時間管理、時間術のコンサルを事業にできると信じていました。こんなことやっていた人間は、世界でも他にいないでしょうし、きっと自分ならではの事業になるなと。
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それで、実際にビジネスになったのですか?
フリーランスになってから、時間管理の研修講師になったり、セミナーで登壇したり、ストアカでものべ300名くらいが受講してくれました。
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素晴らしい。手応えはいかがでしたか?
正直、事業化は難しいと気付きました(笑)
過去の改善より、未来に価値を
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なぜですか(笑)
私が教えていたのは、簡単に言えば、「過去を見て改善する」ということです。皆さん興味を持って講座には来てくださるんですが、その手法を再現しようとする方は、1~2パーセントしかいませんでした。共感はするけど、再現はほとんどできない。だから一回受講するだけで、続ける方がいないわけです。これって、事業を続けるうえで致命的じゃないですか(笑)
それで、もうそのときは会社も辞めていたので、他に教えられることはないかなと、時間管理以外にも持っているスキルを棚卸しして、手当たり次第ストアカで教えていたんです。プログラミングもそのひとつでした。
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プログラミングを教えることができたのは、なぜですか?
起業前、最後に勤めていたワークスアプリケーションズという会社でプログラミングをやっていたからです。29歳の時、リクルートからIT企業に転職したいと思っていたら、「未経験でもエンジニアになれる」という求人を見つけ、その会社に転職しました。そこで約5年間、プログラマーとして働いていました。
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なるほど
そしてちょうどそのとき、コーチングの世界に出会ったことも大きかったです。それまで自分は、過去を改善して時間の価値を上げることをずっと考えてきました。一方コーチングでは、「こうなりたい」という未来に向かってアプローチを考えていきます。そこで出会った方に「なんでそんなに過去の細かいことばかりを見ているんだ」と言われて、確かに自分は過去の一方向しか見ていなかったなと気付いたんです。
未来に対して何かをしたいという気持ちは、みんなにとっての希望になるし、今までと手段は異なるけど、時間の価値を高めるという意味では、結局同じ目的に行き着くなと。「まさにプログラミングがその領域なんじゃないかな」と思いました。
ストアカでも、不思議なことに時間管理よりもプログラミングを教えた方が、お客さんの集まりが良かったんです。時間管理は、誰にも真似できない、自分にしかできないことであるはずなのに、それよりもお客さんが集まるというのはどういうことなんだろう?そのとき初めて、自分がやりたいことと、人が求めるものは違うんだなと気付きました。ストアカでどちらも教えてみたから、それがわかったんです。時間管理を教えるのはやめて、プログラミングでいこうと判断することができました。
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生徒さんのリアルな反応を見れたのが良かったのですね
そうですね。ストアカで教えているうちに、プログラミングが未来に必要な技術だと確信しましたし、自分の提供するもので人を幸せにできるとも思えました。ただ、ストアカはあくまで初心者向けの講座なので、もっと息の長い教育をするために、プログミングを教える「DIVE INTO CODE」を創業しました。
プログラミングスクールを創業
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「DIVE INTO CODE」はどのような会社なんでしょうか?
ミッションは「すべての人が、テクノロジーを武器にして活躍できる社会をつくる」こと。学歴、国籍、身分、年齢に関係なく、お金を生み出す武器(プログラミング能力)を授けるためのスクールです。多くのプログラミング講座は、30日間とか60日間の短期集中講座が多いのですが、プログラミングを仕事にしようとすると、採用時に実務経験を求められるので、ただ講座を受けたというだけではなかなか採用されません。「DIVE INTO CODE」では、受講生が卒業して終わりではなく、きちんと実務・就業まで結びつけていくことが特色です。
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いただいた資料を見ると、受講生の約7割がプログラミング未経験者で、しかも多くが会社員の方ということですが、どうして今、プログラミングに対する需要がこんなに高くなっているのでしょうか?
3つの理由があると考えています。
1つは、2020年から始まるプログラミングの義務教育化。小学校で必修科目となりますが、プログラミングがわかる大人は圧倒的に少ないです。それで大人が危機感を持っている、あるいは子どもに教えられるようになりたい。それに対応できるように今のうちに勉強しておこう、という方がいらっしゃいます。
2つ目は、各社新規事業に挑戦しようという機運が高まっていますが、そこにもプログラミング人材が欠かせません。
3つ目は、副業やリモートワーク、フリーランス人口の増加など、新しい働き方の流れがありますが、それがプログラミングと相性がいいんです。
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なるほど、納得しました。今後の目標はありますか?
今年、海外で事業を展開します。先ほどミッションの話をしたとき、「学歴、国籍、身分、年齢に関係なく」と話しましたが、その国籍の部分です。海外に出て感じるのは、いかに日本が恵まれているかということ。日本では、そんなに苦労しなくても生きていくことはできます。一方で発展途上国の人たちは、毎日生きるのに必死です。そういう人たちに、我々はプログラミングという武器を授けることで貢献していきたいと考えています。
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素晴らしい挑戦ですね。具体的には、どのような国を考えていらっしゃいますか?
ベトナムやミャンマー、あるいは中東・アフリカなどの発展途上国を考えていますが、そこでプログラミングスクールを作ります。以前ベトナムでセミナーを開いたことがありますが、日本人に教えるときに比べて、皆さん熱意の大きさが桁違いでした。もちろん、国の資本の差が大きいので日本が簡単に負けることはありませんが、あの熱意を見ていると、個人単位、チーム単位では日本人の同世代は負けてしまうかもしれません。
教えることで、自分も学んでいる
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考えさせられます。あと、ひとつ疑問に感じたことがあります。野呂さんは事業を立ち上げてからずっと教えていらっしゃると思いますが、野呂さん自身がプレイヤーとしてのプログラマーに戻りたいと思うことはないのですか?
あまりないですね。私がプログラマーになるよりも、自分の知識を伝えて、プログラマーになる人を生み出していく方が社会的インパクトがあります。「プログラミングは難しい」というイメージを持たれがちですが、誰でも時間をかければできるようになるという、自分が経験してきたことを伝えていきたいんです。そして知識と経験があれば誰でも成功できるということを。
私たちがやっていることは、新しいものを生み出すことではなく、すでにあるものを教えることです。世の中の情報を収集して、集約して、わかりやすく伝えていく。学習のステップを設計し、学びにくいものを学びやすくするということですね。
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教えることも向いているんでしょうね。
楽しいですよ。教えることで気づけることも多いですしね。自分の知識が曖昧だったことに気づいたり、人に教えるうちに贅肉のない知識がついてきて、それがまた教えるうえで役に立ちます。自分自身も学んでいるんです。
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野呂さん、どうもありがとうございました!
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編集後記:このインタビューとは別の日に、実際に「【入門】3時間でアプリ公開!ゼロからのプログラミングRails講座」を受けさせていただきました。プログラミングはまったくの初心者でしたが、概念をやさしく教えていただきながら手順に沿って進めているうちに、自分でも簡単なアプリケーションを公開することができました。プログラミングに対するハードルがグッと下がりました。2020年の義務教育化に合わせて、少しは基本的なことを学んでみようかなと思いました。
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先生のプロフィール
野呂浩良さん(Hiroyoshi Noro)
MBAエンジニア講師。リクルートやワークスアプリケーションズなど異業種・異職種への転職を4度経験。あらゆる時間を計測し、未経験の職務でゼロから短期間に成果をあげる独自の生産性向上手法を確立。ワークスアプリケーションズの特待生制度「問題解決能力発掘プログラム」の突破経験と1年間の独立起業過程でエンジニア人材の不足を痛感した原体験から、実務経験を得てエンジニアになるためのハイレベル・プログラミングスクール「DIVE INTO CODE」を創業。
先生の教えている講座
講座 | 『【入門】3時間でアプリ公開!ゼロからのプログラミングRails講座』 |
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受講料 | 3000円(3時間) |
定員数 | 10名 |
申し込み | https://www.street-academy.com/myclass/2955 |