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  自由に表現する楽しさを、写真を通して伝えたい

自由に表現する楽しさを、写真を通して伝えたい 写真は楽しむからこそ上手くなる|Ryoma Tachibanada

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  • 2015年にストアカで写真講座を開始して、瞬く間に人気講師となった橘田龍馬さん。
    これまでファッション広告、ファッション誌、音楽専門誌、CD・DVDジャケットなど、
    写真家として幅広く活躍されてきましたが、
    ここに至るまでには、想像を遥かに上回る紆余曲折がありました。

     

    いったいどのような経緯で、写真家への道を志すようになったのか。
    そしてどんなきっかけがあって、写真教室に情熱を注ぐようになったのか。
    今回はそのユニークなキャリアと、教える背景にある強い想いを伺いました。

思わぬ現実と、方向転換

  • 写真家になる前は、何をされていたんですか?

     

    一番最初は、メーカーのエンジニアでした。

  • エンジニア!?

     

    工業高校を出て、そのまま就職したんです。でも、すぐに上司から「お前は営業が向いている」と言われて、営業に異動しました。そしたら実際ものすごく売れて、営業成績で一番になったんですが、高卒というだけで、自分より成績の良くない社員よりも給料が安かったんです。上司に直談判しましたが、「その問題は一生つきまとうよ」と言われて、正直このまま続けてても楽しくないな〜って。

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  • なるほど

     

    そしたら、知り合いの美容師の方が、「高校は出ていないけど、一番成績がいいから、給料をいっぱいもらっているよ」と話していたんです。え、そういう職業があるんだ、って驚きました。すごくフェアな世界じゃないですか。
    それなら、接客も好きだし、美容師になろうと決めて、当時原宿で一番有名だった美容室で働くようになりました。

  • 営業から美容師へ!? 簡単におっしゃいますが、ずいぶん思い切りがいいですね(笑)

撮影現場で感じた疑問

  •  

    どうせやるなら日本一の美容師になりたい。だけど、特別な才能もない。だから毎日、一番遅くまで練習して、一番早くお店に来ていました。営業中はシャンプーしかやらせてもらえませんでしたが、営業後に自分でモデルを見つけて、カットして、ヘアメイクをして、写真も撮っていました。ヘアメイクをしたそのときは、もちろん自分では良いと思っているわけですが、後でもっと客観的に仕上がりを評価したいなと思って、それで写真を撮り始めたんです。そして徐々に、雑誌の撮影の現場にアシスタントとして入るようになって、プロのカメラマンと接する機会も増えてきたんですが、彼らを見ていて、疑問に思うことがたびたびありました。

  • 疑問というと?

     

    プロのカメラマンなのに、うまくモデルとコミュニケーションを取れていない人もいて、そういうときは美容師たちがモデルを盛り上げて、表情を良くしたりするんです。でも、それもカメラマンの仕事じゃないの?って。彼らはあくまで技術者で、写真がちゃんと撮れる人、という立ち位置だったので、一応はそれでも成り立っていたんですけど、コミュニケーション能力とか、表情を引き出すことも含めてカメラマンができたらいいのになと感じました。

    また、別の撮影現場では、自分にとって憧れのスタイリストだった先輩が、カメラマンのひと言で、頑張って作ったヘアメイクを壊して、またやり直すという場面に遭遇しました。ヘアメイクのことなんて何も知らないカメラマンから指示されて、先輩、どういう気持ちなんだろうって。

  • それは辛いですよね

     

    しかも結局、そういう写真が雑誌に掲載されるので、美容業界としてそれで良いはずがない。だったら、ヘアメイクを知っている自分が写真も上手に撮れたら、もっと良いものが生まれるはずだと思って、「じゃあカメラマンになろう」と。

美容師からカメラマンに

  • それもまた潔い決断ですね。では美容師を辞めて、写真の専門学校へ通ったんですか?

     

    いえ、最初からフリーで仕事を始めました。

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  • 最初から!? そんなことが可能なんですか?

     

    ヘアメイクや洋服の知識があったので、トータルで攻めればきっと仕事になると思っていました。自分の作品をまとめたポートフォリオを作って、ファッション誌などに直接営業をかけたんです。「こういう写真を撮れますよ」って。もちろん断られることが多かったですが、それで得られた仕事もあります。

  • すごい行動力ですね

     

    でも、引き受けた仕事は全部 屋外での撮影でした。

  • なぜですか?

     

    ライティング(照明技術)の勉強をしていなかったから、スタジオでの撮影は断るしかなかったんです。

  • なるほど。さすがにライティングは勉強が必要ですもんね

     

    でも人生まだまだ先は長いのに、スタジオの仕事を全部断っていたらもったいないじゃないですか。そこで、スタジオで1年間働いて、ライティングを覚えました。当時勤めていたスタジオには、有名なカメラマンが集まっていたので、彼らのライティングをメモして技を盗みました。深夜にモデルの友人を呼んで、そのライティングを再現して撮影をしたこともたびたびあります。一年経つ頃には、ポートフォリオが4冊くらいできましたよ。それがまた、フリーに戻ってからの営業で役立ったんです。

憧れた「PARCO」の仕事での違和感

  • フリーに戻って、状況は変わりましたか?

     

    全然違います。仕事の幅がぐんと広がりました。PARCO、Nike、Yoji Yamamoto、WOWOWなど、正直自分が思っていた以上に仕事をもらえました。でもその中で大きな転機となったのは、PARCOの広告の仕事でした。

  • 何があったのですか?

     

    PARCOは、ものすごくギャラも良かったし、一番やりたい仕事だったんです。仕事が決まったときはもう本当に嬉しかった。だから、実際に写真を撮って駅のポスターに貼られたときは、さぞかし感動するんだろうな〜と思っていました。でも見に行ってみたら、「こんなもんなのかなあ」と、不思議なくらい充実感が得られなかったんです。

  • どうしてですか?

     

    わからないです。友人たちは「すごいね〜」「見たよ〜」って言ってくれたんですけど、自分自身は「あれ、俺これをゴールにしてたんだっけ…?」とすごい違和感を覚えたんです。全然満足できなかったんですよね。

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運命を変えた1時間

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  •  

    ちょうどその頃、モデルの友達が撮影が終わったあとに、「写真教室に行ってきたんだけど、もう写真やりたくなくなった」と言うんですよ。どうして?と尋ねると、「写真を撮っても、先生が好きな写真しかOKと言わないし、こうやれとか、これはダメとか、私は自分の撮りたいものを撮りたいだけなのに…」と。好きだった写真が、楽しくなくなってしまっていたんです。

  • それは悲しいですね

     

    先生の価値観を押し付けるなんて、本質的じゃないですよね。ぼくは写真教室に行ったことがないから、講師がどんな教え方をしているのかもまったく知らなかったんですが、その子の話でビックリしてしまって。
    それで、その子に1時間、写真について自分が独学で学んできたことを教えてあげたんです。

    「写真は、自分が感じたものを誰かに伝えるために撮るものだから、誰かに認められようとする必要はないんだよ。自分が撮りたいものを撮るんだよ」って。これをどう撮りたい? 下から撮りたい? いいよ、じゃあ撮ってみな。明るさはどう? もっと明るくしたい? そうしたらこうやるんだよ。色はどう? もっと青くしたい? OK、こうやって色を変えるんだよ、とその子が撮りたいものを撮るための方法を教えてあげました。

  • あくまで「方法」なんですね

     

    そう。それで撮れた写真を見て、「自分の撮りたい写真が撮れた?」って聞くと、その子は「これが撮りたかったの!」と感動して泣いたんです。それはもう、PARCOのポスターを見たときの、何倍も嬉しかったんです。

たったひとりのお客さんを大切にする

  • それで写真教室を開催するようになったんですね。すごく腑に落ちました。ストアカを利用するようになったのはいつ頃ですか?

     

    2015年の8月です。一番最初の講座はドカンとやりたいと思って、土日合わせて計8講座を用意して、80人に教えようと意気込んでいました。

  • 実際、80人も来たのですか?

     

    いえ、蓋を開けてみたら、ひとりしか申し込みがなかったんです(笑)

  • ひとり!(笑)

     

    しかも親切な方で、「ぼくひとりだと費用対効果が合わないと思うので、キャンセルしましょうか?」とおっしゃるんです。だけど、「ひとりのお客さんを大事にできない人は、たくさんのお客さんを大事にできない」ということが、美容師時代の学びでしたから、私は「来てください」と言いました。

  • 素晴らしい。ちゃんと繋がっていますね

     

    そして、講座でその方に喜んでもらったあと、「次回どんな講座だったら受けたい?」と聞いたら、5つリクエストしてくれたので、帰ってすぐにその生徒のために5つの講座を作りました。
    そこから徐々に参加者が増えていき、心のこもった感想を書いてくれる人も多くなってきたんです。
    現在までに、のべ2000人以上に写真を教えることができました。今でもひとりでも受けたい人がいたら、リクエストに応じて講座を作っています。

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  • 橘田さんの人気講座といえば、「『1日で簡単に写真写りが良くなる』写真の撮られ方教室」ですよね。これまでに115回開催、800人以上の参加者がいらっしゃるというのは驚異的です。この講座も、生徒さんのリクエストから生まれたものなのでしょうか?

     

    『1日で簡単に写真写りが良くなる』写真の撮られ方教室はリクエストからではありません。自分に自信がないと思っている女性に勇気づけをしたいという想いで開催しました。写真写りが悪いというコンプレックスは、女性が自信をなくす大きな要因になっているので、それを取り除いてあげれば、自分に自信がついていろんなことにチャレンジできるのではないかと思っています。

  • 具体的には、どんな講座内容なのですか?

     

    ポイントは3つで、
    ①写真を撮られる際に大切なメンタルや考え方
    ②奇麗に細く見える立ち方
    ③自然な表情の引き出し方
    この3つをレクチャーしたあと、実際に写真を撮ってみて、効果を証明してあげます。

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  • 実際に受けた生徒さんからはどんな感想をもらいますか?

     

    自分に自信がついた、人生が楽しくなった、考え方がポジティブになった、もっと早く知りたかった、こんな簡単に写真写りが良くなるなんて信じられない、こんな自然に笑ってる写真見たことない……など、非常に喜ばれています。
    この講座には、写真写りが良くなるのはもちろんですが、人生においての、物事の考え方、捉え方、モチベーションの上げ方、自分のゴールの達成の仕方などが凝縮されています。ひとりでも多くの女性が、自分で勝手に決めた限界を取り除き、自分に自信を持ち、やりたいことにチャレンジしてほしいと願っています。

写真を学校の授業に

  • 本当に様々なテーマで講座を開いていらっしゃいますが、とくに力を入れている講座はありますか?

     

    こども写真教室というのを開催しているんですよ。

  • お子さんが、写真を撮るんですか?

     

    そうです。「写真を学校の授業にする」というのが私の夢です。

  • 学校の授業というと、写真の専門学校とかではなく?

     

    小・中・高の授業としてです。音楽や体育と同じように、誰もが写真を学べるようになってほしいんです。

  • どうしてそういう想いを持つようになったんですか?

     

    以前、知り合いの女性から「うちの子が写真に興味があるんだけど、教えてあげてくれない?」と言われて、小さい子たちを集めて開催したんです。そのときに、人見知りを通り越したような、うまく人と話せない子がいたんですね。だけど、その子も最終的にはみんなと同じように夢中で写真を撮るようになり、その姿を見たお母さんが泣いていたんです。

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  • 写真との出会いが、その子を変えたということですね

     

    それ以降、こども写真教室を開催するたびに、自閉症の子やコミュニケーションを取れない子が、写真を始めてから「今日こんなことがあって、…」とお母さんに話すようになったなど、うれしい報告をたくさん受けるようになりました。

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  • 写真がコミュニケーションツールになっているんですね

     

    そうなんです。そして、私は写真を通して、自分が感じたことを自由に表現する楽しさや感動を、子どもたちに伝えていきたいと思うようになりました。でも、お金がなくてカメラを買えない人もいます。だからこそ、写真を学校の授業にして、誰もが平等に写真を楽しめる世界にしたいんです。

  • 素晴らしいです。最後に今後の目標を聞かせていただけますか?

     

    私の生徒が、ストアカの講師として活躍することです。同じ考えを持って教えることができる人に、写真を教えてほしい。だから今、プロ写真講師とこども写真教室の講師を育てる講座も、全国で開いています。想いに共感してくれた方が集まり、みんなで力を合わせていけば、きっとたくさんの人たちに写真の楽しさを伝えていけると信じています。

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  • 橘田さん、どうもありがとうございました!

  •  

    編集後記:インタビューの最後に橘田さんの写真を撮らせていただいた際、ほんの少しのアドバイスをいただいただけで、本当に素人の自分が撮影した写真なのだろうか?と思わず目を疑ってしまうような写真が撮れました。「中村さん、上手ですよ!いいですね!」と、優しく、楽しく、あっという間に上達させてくれる橘田先生の写真教室、今度はプライベートで参加させていただきます!


  • 先生のプロフィール

    橘田龍馬

    橘田龍馬さん(Ryoma Tachibanada)

    写真家。ファッション広告、ファッション誌、音専誌、CDジャケット、DVDジャケットなど幅広く活動(PARCO、EDWIN、NIKE、Yohji Yamamoto、UNITED ARROWS、WOWOW など) 。「写真は楽しむからこそ上手くなる」をモットーに、写真の楽しさをひとりでも多くの人に伝えたいという想いで全国で写真のワークショップを開催している。受講生は1年間で2,000人以上。

先生の教えている講座

※2017年02月24日現在の情報です。

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